※この「女子大生、留美子」は、ロマン小説のブログの中で、最も多く読まれている小説のようです。もし気に入っていただけたら幸いです。(赤字の部分、2022.1.19 記す)

女子大生小説6 留美子は女子大生だった。もう少し正確に言うと、女子大生の設定であったというべきだろうか。F女子大に通っていることになっている。実のところは、近くにある某総合大学の学生で、実のところは男子学生なのだが、留美子にとっては「女子大生」の方がしっくりくるので、オフの日にはずっと女子大生を演じているといったところだろうか。友だちに白石由美という人がいて、この子は本当の女の子なのだけど、留美子は女どうしという感覚でつきあっている。白石由美は正真正銘のF女子大の学生であった。「女どうし」なので2人に性的な関係があるわけではなく、一緒に買い物したりカフェに行ったり、要するに、仲のよい女の子どうしというところだろうか。
 付け加えておくと、留美子はすでに性転換手術を終えていて、胸もふくらんでいて、下の方も人工的につくられたものではあるのだが、膣があった。すでに「女性」ではあったのだが、戸籍の性別の変更ができる法制度はまだあとの時代なので、このときには、戸籍は男のままだった。大学には男性として入学しており、いちおう、男性として学業をしていた。まわりの人は「女っぽい感じの男の子」だというイメージだったかもしれない。
 白石由美のつながりから、F女子大の女子大生として合コンに参加してとの誘いがあったりして、留美子はときどき合コンにもでていた。一緒に出ている他の女子大生には、由美の方から言い含めてあって、留美子が本当は男であることは内密にしているし、そのことで楽しんでいる風でもあった。合コンで留美子がもてまくっても、ネイティブの女の子ではないということからか、他の女子大生からの嫉妬はほとんどなかったのも幸いだった。
 実際、合コンでは、留美子はかなりもてていた。相手の男子学生からは、さかんにモーションをかけられていた。席で横についてお酌したりしていると、男子学生は鼻の下を長くしていた。そういった男子学生から、個別にデートの申し込みがあったりしたが、留美子は軽くいなしていた。デートがいやだというわけではない。長い時間を一緒にデートしたりしていると、男だということがバレてしまわないかという恐怖心が先にたっていたこともあった。
 あるとき、この白石由美が、留美子に、いつもの合コンとはちがう誘いをしてきた。それは、参加するのは、白石由美と留美子の2人が女の子、男性側は一流企業の部長クラスの年配の2人。要するに4人で会おうということなのだが、留美子にとっては、自分の親の年齢のような男性と一緒に食事をしたりするのは初めてだった。どうも由美の方は、そういう年配のパパさんがいて、ときどき食事につきあったりして、ときにはお小遣いをもらったりすることもあったようだ。今でいう「パパ活」なのだが、当時はそういう言葉はない。由美の「パパ」から、「知りあいで、かわいい子はいないか」と要求があったようだった。同じ会社の男性で、女子大生とつきあってみたいという男性がいるということのようだった。
 ちょっとここで説明が必要かもしれない。当時は、女子高生は性的な市場にはほとんど参入していなくて、女子大生というのが「オジサマ」連中の憧れの的だったようだ。そりゃ、10代の女子高生の方がピチピチ感は強いのだろうが、当時はね女子高生はまだ「子ども」であって、性的なこととしてはアンタッチャブルな領域でもあった。女子大生が「オジサマ」のお相手役だったということだ。
女子大生小説3 男2人、女2人で、札幌のシティホテルで会うことになった。留美子は黒のノースリーブの超ミニのワンピースだ。ワンピースミニの裾からすらりと伸びる留美子の脚に男性陣の目はくぎづけになることまちがいなしにちがいない。
 レストランは男性側が予約していた。男子学生との合コンなんかで行けるようなところではない。留美子たちからすると、とても高級なレストランと思えた。札幌の街並みが眼下に見下ろせて、テーブルに置かれたオレンジ色の灯りは否が応でもムードを盛り上げてくれる。そして、オレンジ色の灯りは、女性の顔をとても魅力的に見せてくれるでもあった。由美もかなりきれいな女子大生である。由美と留美子と美女2人がテーブルにいて、対面には、ちょっと懐がゆたかそうな一流企業の幹部クラスの年配の男性がいるという構図だった。留美子たちは21歳、オジサマたちは50歳を超えているので、年齢差は30歳を超えている。親と娘ほどの年齢差だ。
 オードブルから始まって、ムニエルの魚料理、牛フィレ肉のステーキ、留美子たちにとっては何かわからない銘柄のフランスワイン。オジサマたちの仕事の難しい話にはついていけそうもないが、日常のたわいもない女の子どうしがやっているような会話でも、オジサマはニコニコして聞いている。日頃、会社ではそういう会話をすることはないので、30歳以上も年下の女の子の会話でも楽しめたのかもしれない。
 デザート、コーヒーとが終わって、ディナーも終わると、今度は2人づつカップルになって2次会に行くことになった。留美子のカップルは最上階のラウンジバーに入った。
「ボクはスコッチのロックをもらう。キミはなにを飲む?」
「お酒はあまりよくわからなくて・・・なにがいいかしら」
「そうだな、ジンフィズなんかはどうかな」
「じゃあ、それにするわ」
 ボーイを呼び、「スコッチのロックとジンフィズね」と注文した。
 眼下の煌めく街灯りが、留美子たちが座っているソファからでもはっきりと見える。
「留美子さんはとってもきれいですね。もう反則すぎますよ」「かわいすぎですよ」
「うふん、ありがと」
 何年か前だったら、きれいだと言われ慣れていないので、「そんなことないですよう」なんて答えていたのかもしれないが、このところずっと、まわりの男性から、きれいだきれいだと言われ続けてきて、褒めそやされるのが当たり前になっていた。そうなると、メイクで鏡に向かうたびに、『私ってきれいなのね』と自分でも思ってしまうほどになってきていた。そういうふうに自分でも思うようになると、よりきれいになるように、いっそう努力するようになっていき、相乗効果で磨きがかかっていくものである。男性からきれいだと褒められるというのは、女性にとっては最高の美容なのかもしれない。このころになると、留美子はすなおに「ありがと」と肯定できるようになっていた。
 男性は、小野田聡という。いただいた名刺には、M産業株式会社総務部長との肩書きがあった。「きれいすぎる留美子さんの横にいるだけで、ボクは幸せだ」といいながら、彼の手は、黒の超ミニのスカートから伸びている私の膝の上にはってきた。『男性って、みんな同じなのね』と思った。これまでも、街中でナンパしてきた男性は、喫茶店に入って横に座ると、だいたい同じことをした。なにげなくを装って膝の上に手を置いてくる。『次は、私の胸を触りにくるのかなあ』なんて考えていると、
「このネックレス、すてきだね」と言って、ネックレスに手をかけてきた。あーーん、もう男のすることって先が読めちゃうわ。
 ネックレスに触るフリをして胸を触ってくるんだわ・・・なんて思っていると、全く推測どうりに、胸にちょこちょこと触れだした。
「あっ、ゴメン。でも、キミの胸は大きいね」
もう、これだから男性は。ワンパターンなんだもの。私をほしくてたまらないのかなあ。
「やーーん、もう、これ以上はごめんなさい」と、当たり障りのないように拒否した。私の胸を簡単には触らせないわ。胸を触るのは高いのよ、なんて、はすっぱに思った。

 小野田は、一流企業の「紳士」を守ってくれた。それ以上、強引に触ってくることはなく、この日はディナーとラウンジのバーで会話を交わすだけで終わった。でも、そのあとのデートの約束を交わした。2回目のデートだ。
 2週間後の土曜日、ちょっと高級そうなシティホテルの1Fのカフェラウンジで待ち合わせた。約束の午後2時に行くと、小野田はすでに来ていた。女性を待たせることはしない。このあたりは紳士のマナーはできている。
「お待たせしました」
「いや、ボクも、今、来たところだよ」
 コーヒーを2つ頼む。ホテルラウンジのコーヒーは、味は悪くない。
「初めての2人だけで会うデートだね。記念ということもあって、キミにプレゼントしたいな。どこかお店に行って買ってあげよう」
 男の人は女性にプレゼントするのが好きなのね。まして、地位のある男性ともなると、その地位と財力を相手の女性にひけらかしたい男の見栄もあるのかもしれない。
「プレゼントはなにがいいかな」
 留美子はもちろん喜んだ。学生の身分ではそうそうに高いものは買えないので、こういう「パパ」さんは貴重である。
「じゃあ、コートを買ってくれる?」 冬が近づくと札幌は寒い。すてきなコートがあればとてもいい。
 ラウンジをでると、近くにある三越デパートの服のコーナーに行った。留美子はあれこれとコートを体に当ててみる。
「こんなのはどう?」「これもすてきねえ」 女の子の服選びは時間がかかる。でも、小野田はニコニコしながらつきあってくれた。
「いいね、似合うよ」
どのコートをあわせても「似合うよ」なので、男の人には女性のコーディネイトはわからないのだと思う。せっかくなので、ちょっと派手なコートを買ってもらおうと考えて、きれいなピンクのコートを選んだ。
「これにするわあ、いい?」 値札をみると7万8千円になっていた。ちょっと高いおねだりかなあとも思ったが、30歳以上も年下の女子大生がつきあってあげるのだもの、これぐらいはいいよね。なーーんて、勝手に解釈した。でも、小野田は、こともなげに「いいよ」と言ってくれる。男の人の見栄ってたいへんだねえ。
 小野田は、クレジットカードを出して、レジでコート代を払ってくれた。
「ここで、このコートを着ていきます」と、留美子はデパートの店員さんに言い、試着室を借りて今着ている服の上にコートを重ねた。
「お似合いですよ」と、店員さんは社交辞令をいう。
女子大生小説5 外に出て、ピンクのコートを着た留美子が小野田に言う。
「どう、このピンクのコートの私って、いい?」
「ああ、ものすごくいいよ」
 この日は、お寿司屋さんに連れて行ってもらった。まわらないお寿司、価格が書いていないお寿司、こういうシステムを時価というのだろうか。留美子が自分のお金で食べに行くとしたら、いくらかかるのかと心配でたまらないと思う。もっともそういうところには行かないし行けないだろうけれど。
 今日は小野田が全部を支払うのだろうなあ。女の子はただ男性についていけばいい。そういえば、そんなことを言っていた男性がいたなあ。《女性には払わせない。ただきてくれればいい。男がちゃんと払うものなんだ》こんな感覚の男性って、昭和の時代にはけっこういたような気がする。でもその代わりに、女性がしっかりした意見をもつのは嫌われる。黙って男性についていくことが望まれる。その代わりに、男性が女性を保護する。そういう関係性が昭和の時代だったのかなあ。

 3回目のデートの約束も交わした。札幌の都心部にある中島公園というところに行こうという誘いだった。待ち合わせは、2回目のデートと同じところ。ラウンジでのコーヒーをすますと、地下鉄すすきの駅の方面へ、札幌のメインストリートを2人並んで歩いていった。
 中島公園の入口のひとつは、地下鉄・中島公園の出口のすぐ横にある。そこから入っていくと、ちょっとした池がありベンチなども置かれている。そこに2人で座った。
宮崎留美子若い頃/白いセーター 今日の私の服装は、これまでの2回とちがって、けっこう女子大生っぽい服装だった。もちろん意図的にそういう服装をしてきた。だって、彼に、女子大生とデートしているんだというイメージをもってもらうと、けっこう喜ぶのではないかと思ったからだった。
 そして、その私の思惑は当たった。女子大生っぽい若々しい姿に、彼は感動したみたいだった。 真っ白のセーターと茶系のギンガムチェックのプリーツのミニスカート、それに、黒のニーハイソックスのコーデイネイトは、いかにも女子大生という雰囲気を醸し出す。
「その服はとってもにあっている」「ボクみたいなオジサンが、キミのような女子大生とデートできるなんて夢のようだよ」 小野田からは、感動の様子がまざまざと伝わってくる。
「キミを大切にしたい。ボクは、キミにまいってしまっている」
「キミが大好きだ」 男の人は、こんな言葉があふれるように出てくるのねと、ちょっと思ってしまった。
「えーーっ、なんと答えたらいいのか・・・」と、留美子は言葉を返す。
「好きなんだあ」と言いながら、留美子を抱きしめようとしてきた。
「えーっ、小野田さーん、ちょっと、ちょっと」と軽く拒もうとするのだが、彼の方が力強い。力強い彼の腕の中に抱きすくめられてしまった。陽は陰ってきて、夕焼けのオレンジ色が、公園の池に反射しゆらゆらと揺れている。薄暗くなってきているので、抱きすくめられていてもそれほどは目立たない。というか、公園ではそういう光景はめずらしくはないのかもしれない。誰も気にとめて見る人はいなかった。
 くちびるを寄せてきた。
「あーーん、だめえ」と言おうとしたのだが、そのときには、留美子のくちびるは小野田に奪われてしまっていた。小野田の舌が留美子のなかに入ってこようとしているのを、腕で押しのけてなんとか体を離した。
「ボク、もうだめだよ。キミがほしい。キミのことが好きなんだよ」
「わかったけれど、まだその気になれないのよ。・・・あーーん、お腹が空いちゃった。どこかに連れて行ってよ」と、留美子は食事のおねだりをした。
「わかった。食べに行こう」とベンチをたち、留美子も立つようにとうながした。彼が連れて行ったのは、札幌の老舗のホテルである札幌グランドホテルだ。ここの上層階のレストランに入っていく。予約していないのに簡単に入れるのかなと訝しがったが、レストランのスタッフは、「ようこそ小野田様、空いていますよ。予約がなくても、小野田様でしたら、どうぞ」と招じ入れてくれた。どうも常連さんらしい。「こちらへどうぞ」と奥まったところのテーブルに案内すると、留美子の方から先に椅子を引いてくれた。このあたりはレディファーストがしっかり教育されているみたいねと、高級さをそんなところからも感じとった。
「小野田様、きょうはまたすばらしくきれいな方をお連れなのですね」と、スタッフがおべんちゃらを言っていた。おべんちゃらだとしても、きれいなのだと思われているのは悪い気はしない。ここの料理は創作料理みたいで、和風も洋風もまじりあって、どちらともとれる料理がでてきた。お酒は、ワインでも日本酒でもあいそうだ。留美子はワインにした。
 小野田の軽妙な会話は、けっこう楽しませてくれる。小野田が留美子をほしがっていることはわかっているのだが、彼の会話にのせられていった。食事が終わると「ちょっと部屋で休もう」と誘ってきて、そのときには、ワインの酔いもあって、なんとなくついていってしまったから、これも不思議だった。3回目のデートなので、気を許しやすくなっていたのかもしれない。
 部屋に入ったら、小野田はかなり図々しくなっていた。留美子を抱きすくめくちびるを吸う。ここまではすでに許したことだった。でも今度は、彼の舌を留美子の口の中に受け入れるまでにすすんでいた。彼の手が留美子の胸にあてられた。そして少し揉む。
「ああーん、だめよお」という、留美子の拒みは、もう力になっていない。留美子はお姫様抱っこをさせられて、ベッドに倒しこまれた。うやうやしく靴が脱がされ、黒のニーハイソックスが足から丸められるように外されていく。留美子はニーハイソックスの下にパンティストッキングをはいていた。そのパンストの腰のゴムに手をかけられて、ストッキングはすーっと脱がされていって、はいていた主を失ったストッキングは落とされ、床に丸まってだらんとおさまった。次に、白のセーターが上に脱がされると、そこには、ダークローズのブラジャーと、ピンクのスリップがあらわになり、それが小野田の目に飛び込んできた。
女子大生小説2 ピンクのスリップは、こうなることを予見していたかのようなランジェリーだ。セックスはまだしたくない、でも求められたら拒めないだろうなあという相矛盾した気持ちが、ピンクのスリップを選ばせたのかもしれなかった。
「うわあ、セクシーだ。ものすごくいい 喜々とした小野田は、留美子をやさしくベッドに横にさせて、スリップの肩紐をはずしにかかってくる。同時に、一方の手は留美子の胸に当てられて、そして胸をもみだす。スリップの紐が下げられ、ブラジャーのホックもはずされて、留美子の胸はあらわになる。Eカップの自慢の胸だ。小野田の手のひらではつつみきれないぐらいで、手からバストがこぼれているかのようだった。
宮崎留美子/セックス画像1「すばらしい、すばらしい、感激だなあ」と小野田は声をあげる。そして、くちびるで、留美子の乳首を吸い始めた。一方の手は、留美子のパンティのなかに滑り込む。留美子の秘部を小野田の指がなでていく。そして少し中に入っていく。留美子の敏感な突起を刺激したようだった。
「あっ、ああん」声が出た。ちょっと補足しておくと、性転換手術では、敏感な性感帯の部分をうまく利用して膣をつくることができるのだった。
 今度は、小野田のくちびるが留美子の秘部にあてられる。そして舌を膣内に入れていく。こうなれば、拒絶するようなことは無理だ。雲の中に入ってふわふわとしているような、スーッとどこかに落ちていくような官能が、留美子をおそってくる。声をあげずにはいられない。
「ああ、ああーん、あっ、あっ、あっ、あーーん」 留美子の喜悦の声が部屋中に響きわたった。
 小野田は、留美子がほしくてたまらないかのような硬くいきりたった小野田自身を、その膣内に挿入してきて、そして腰を上下しだした。
「あん、あん、あん、あん、ああーっ」
留美子はたまらず声をあげる。小野田によって体の性感が開発されていくようでもあった。ますます小野田のピストン運動が激しくなっていく。上りつめる。そして頂点の一瞬、小野田の体には快感が突き上げた。果てたのだ。白い液体が留美子の体のなかに放出された。小野田はぐったりしたが、でもそこは紳士である。ベッド横にあったティッシュを取り出して、まずは、留美子の秘部を拭いてやった。そのあとに自分のものを拭く。留美子の秘部から白い液体がこぼれ落ちていたが、それをそっと拭った。
「やーーん、ゴムをつけないで出しちゃったの。妊娠したらどうするの」
「申し訳ない。あまりにも気持ちがよくて、イッちゃったんだ」
 もちろん、留美子が妊娠するはずはないのだが、一応はそう言っておかないと。

 男は、これからが賢者タイムだ。それまでのほとばしる情熱と欲望は、なにごともなかったかのように冷めている。男とは不思議な生き物だと、留美子はつくづくそう思う。
 小野田はバスルームに入りシャワーを使う。そして、満足したかのように、脱いだ自分の服を着始めた。上着のポケットから財布を取り出して、1万円札を10枚抜き出した。そして留美子に渡す。「今日は本当にありがとう。感動したよ。少ないけれど、これはお小遣いの足しにしてほしい」
 1回の本番で10万円は多い方にあたる。うーん、妊娠のリスクを与えた(と思っている)ことへの申し訳ない気持ちもはいっているのかもしれなかった。

 結局、留美子は10万円で買われたのかとも思ったが、学生身分でお金もなかったこともあって、ありがたいなと思ったのだった。セックスはけっこう気持ちよかったし、食事もご馳走になったし、お金ももらえるのであれば、悪くないのではないか、なんて思ってしまう。白石由美もこうやってお金をもらっているんだろうなあと思ってしまった。
 パパ活って、そして、援助交際って言葉があるのだけど、これまでは現実感はなかった。でも、こんなことだろうなあと、今ではよくわかる。女の子って、普通の生活から、このような援助交際に入っていくまで、自分からは能動的に動くわけではない。相手の男性にゆだねていたら、自然とそのうちにこうなってしまった、なんだかそういう感じだった。性のことでは、男性は自分から能動的にアタックしていかないとものごとはすすまないが、女性は、男性から言われることを受けていればものごとがすすんでいくような気がした。男性の方はたいへんだなあと留美子は思ってしまった。