※写真はイメージです.本文との直接の関係はありません

(この青地の部分は、宮崎留美子によって記しています)「シン留美子」の本文を読まれる前に、「シン留美子」の小説を著した動機のようなメッセージを、著者のFさんからいただきました。それを、
シン留美子をお読みになる前に」に書かれていますので、そちらからお読みいただけるといいかもしれません。
お詫びと留意点 たいへん申し訳ありません。8月30日にブログにアップするときに、著者からいただいた原稿の中で、「シン崎留美子/序」と「シン崎留美子/破」の相当程度の部分を欠落させてアップしていました。PDFファイルでいただいた原稿のうち、序と破の文章の中で、それぞれ1ページづつを欠落させてアップしていました。
 本日(8月31日)、そのことがわかったため、欠落させた部分を、色を変えてアップさせていただきます。パープルの文字になっているところが、新しく補充してアップした部分です。この部分が欠落していると、著者が書かれた文章の本旨がゆがめられたり、前後のつながりが不自然になってしまう可能性がありますので、今回、あわせて再読していただければ幸いです。



シン留美子/序

 鋭い胸の痛みとともに、覚えのない記憶が鮮やかによみがえった。噴き上がる視覚と体感の奔流に巻き込まれ、最初、息ができなかったが、しばらくしてようやく、この身の破滅をもたらす危険な記憶を、何重にも鍵をかけ、意識の奥底深くに封印したことをぼんやりと思い出した。あれは何年前のことだったろうか。
 浴衣を脱ぎ、棚の籠に入れた。脱衣場までうっかりスリッパを履いたまま来てしまったことに気づき、揃えて籠の脇に置いた。年代物の引き戸を開けると浴場はがらんとしていて、湯の湧き出す音だけが聞こえていた。少しばかり浸かってから、奥の露天風呂に向かった。湯はぬるく、いつまでも入っていられそうだった。湯口を設えた築山の陰に回ると、星がよく見えた。私は先ほどの女について想いを巡らせた。
 残業続きのプロジェクトがようやく終わりを迎え、久しぶりに休みが取れた。私はあまり知られていない鄙びた温泉宿を予約した。駅まで迎えに来てくれた車に乗って、宿までの道すがら、オフシーズンの平日でもともと客が少ないところへ、予約した家族客の急なキャンセルが入り、客は私の外は一人だけだと言う。慌ただしさから逃れたかった私は心中快哉を叫んだ。
シン留美子8 申し訳程度の帳場で宿帳を記していると、眼の端を鮮やかな色が動いた。振り向くと階段を昇る女の後ろ姿が見えた。赤いブラウスとベージュのスラックスに豊かな丸い尻が包まれ、足首がキュッと締まっていた。一瞬だけ横顔が垣間見え、豊かな黒髪を長めのボブにきっぱりと切り揃えた髪型が与える知的でアクティヴな印象と目元の濃いメークと紅いルージュの奔放さが、アンバランスな魅力を放っていた。
 成熟したいい女だった。古風な乗馬スーツなど着せたいところだ。高い襟に至るまで、もはやボンデージと呼べそうなほどに身体をきつく締め上げるベストや上着、そしてメイドの手助け無しには着られないほどぴっちりと張り付いた革の乗馬ズボン。なめし革の光沢が尻の谷間に深く食い込んで、豊かな丸みと弾力を帯びた肉を否応もなく強調し、これでもかとばかりに突き出してくる様を思い浮かべる。知的な高慢さ、上品な貞淑さをたたえながら、燃え尽きる事のない情欲の焔を秘めた妖艶な身体。乗馬ムチを手に、私を眺め下ろす冷ややかな瞳と赤い唇、そしてそこからちろりと覗く舌。張り詰めた革に包まれた股間の食い込みが眼前に迫ってくる。
 そこにくっきりと浮かび上がる蛇の姿が一瞬横切り、私は首を振った。彼女が女装者だなんて、そんなことがあり得るはずはないと。けれど、もし、もしそうだったら、どんなに素敵だろう。私はしばらく前から、ネットで見つけた海外の女装者たちの放つ、気品と淫らさに満ちた特別な美しさの虜になっていた。男でありながら女を装う「ねじれ」が彼女たちの美しさを、より貴重で強靭なものとしていた。おそらくその根本には、彼らの思い描くあり得ない彼女たちのイメージ、すなわちファンタジーの底知れない魔力があるのだろう。けれど、日本の女装者たちには実のところがっかりしていた。もともと幼かったり、細身だったり、小柄だったり、ぽっちゃりとしていて身体の輪郭が柔らかだったりと、男になりきれないコンプレックスを、女になる事で裏返し、収支を合わせているようで、何だかいじましく感じられた。彼らはみな女を真似ようとするばかりで、女を超えてはいなかった。それなら、本当の女の方がいいに決まっている。女を超える女、例えばNastjaShererのような女装者が、日本にもいないものか。
シン留美子2 私は「彼女」が女装者だったら‥‥との妄想を、さらに膨らませることにした。乗馬ズボンの中できつく締め上げられ、亀頭の形までくっきりと浮き彫りにしているPに沿って指の腹を滑らせる。もうすでに限界まで張り詰めた革を、内側から突き破ろうとする怒張に軽く爪を立て、雁首を刺激する。股間の痛々しさとは裏腹に、彼女は依然として冷ややかな笑みを浮かべている。眺め下ろす漆黒の瞳を見詰めながら、さらに爪に力を込める。唇の端からきらめく糸を引いて涎が滴り、私の唇を濡らす‥‥‥。
 その時だった、露天風呂へ続く扉の開く音がしたのは。思わず我に返ると、女の姿が白く浮かんでいた。宿の従業員かとも思ったが違った。あの女だった。スリッパがなかったので、誰も客はいないと思ったのだろう。警戒している様子はなかった。
 髪をタオルで包み、身体にはバスタオルを巻いていた。それでも尻の豊満さと締まった足首に至る肉付きの良いゴージャスな脚線美は明らかだった。私は慌てて身をすくめた。今いる築山の陰は暗く、向こうからは姿がわからないはずだった。それに、もうすでに時刻は夜半を回っていて、湯殿の男女の別はなくなっており、私がとがめられる筋合いはなかった。それでも後ろめたかった。それは彼女に気づかれる事なく、彼女の姿を思う存分窃視したいという欲望に、私自身が気づいていたからだった。
 暗がりで息をひそめる私をよそに、彼女は改めて掛け湯をし、湯に脚を入れた。そのまま縁に腰掛け、辺りを用心深く見回してから、バスタオルを取った。心臓が激しく高鳴り、彼女に聞こえてしまうのではないかと恐れた。
 彼女は指を組んで軽く伸びをし、身体を左右に傾け、肩をゆっくりと回した。淡い光の中、彼女の肢体の起伏が白い肌の上に影を踊らせた。肩幅が広めで身体の厚みを感じさせた。日本の若い女の骨張った薄っぺらさはなく、何もかもが上質な肉で包まれていた。胸はあまり大きくはないが、乳首の大きさ、乳輪の色の濃さが何ともエロティックだった。腕を上げると処理をしていない脇毛が見えるのが、肌の白さをいっそう際立たせ、淫靡さを増していた。
シン留美子3 上半身を一通り動かし終わると、今度は下半身に移った。爪先を揃えて両脚を上げたり、足首を回したり、両脚を大きく開いて肩を入れたりした。私は固唾を呑んで見守ったが、バスタオルに隠された秘苑が晒されることはなかった。
 彼女はバスタオルを置いて、すっと全身を湯に浸した。この後、しばらくして彼女は去ってしまうだろう。彼女の裸身をちらりと拝めただけでも幸運だったと私は自分を慰めていた。その時、彼女がすっと立ち上がり、こちらに背を向けた。なめらかな背中が晒され、さらに尻の深い谷間が明らかになった。ああ、いよいよ行ってしまうのだ。せめて、この姿をしっかり眼に焼き付けておこうと、私は再び眼を凝らした。
 立ち去るかと思った彼女は、再び縁に腰を下ろした。今度はバスタオルは当てられていない。脚を開いてくれと私は強く願った。それが通じたのか、彼女はゆるゆると気怠そうに両脚を開き、秘苑を晒した。そこに黒い茂みはなかった。剃毛しているのだろうか。彼女は後ろ手を着いて、首と背をゆっくりと反らした。そこにあるはずの陰裂はなかった。彼女の指が股間に伸び、何かを触り始めた。濃い色をした肉棒が次第に立ち上がってきた。私は思わず息を呑んだ。
シン留美子9「誰?そこに誰かいるの?」硬い声が響いた。私が音を立ててしまったのだろう。こうなればしょうがない。私は覚悟を決めて、身を晒すことにした。
「すみません。驚かせる気はなかったんです。ただ、湯から上がる機会を失ってしまって、そのまま身を潜めていました。本当に申し訳ありません。」
「あなた見たでしょう。正直に言いなさい。」
「見ました。あんな美しいもの、エロティックなものを見たのは生まれて初めてです。もう二度と見ることはできないでしょう。決して他言はしません。でも正直、忘れる事はできません。」
「こんな場面なのに、お世辞が上手ね。」
「決してお世辞ではありません。信じてください。」
 私は自分がいかに女装者に憧れていたか、これまで見てきた女装者に失望してきたかを彼女に打ち明けた。理想の女装者たちの写真を見ながら何度も自慰をし、夢想の中で彼女たちの身体にいかに射精したかも包み隠さず告白した。
「そう。少しお話しましょう。」
彼女は裸身を晒したまま、こちらに近づいてきた。その眼から怒りの色はすでに消えていた。私達は並んで湯殿の縁に腰を下ろした。


シン留美子/破

 私は彼女の右手側にまっすぐに前を見て座るように言われた。
「女装者に憧れてた‥‥って言ってたわね。私を見ていいと思った?欲情した?」「ええ、ものすごく。最初、女性だと思っていた時から、この人が女装者だったら、どんなに素敵だろうと想像しました。」
「ふふ。私のどこがそんなに気に入ったのかしら。」
「最初は一瞬姿を見ただけですから、細かいところまでは‥‥。それでも豊かなお尻からキュッと締まった足首にかけての脚の肉付きや、知的でエロティックな横顔に興奮しました。」
「それで黙って盗み見していたわけ。」
「はい。すみません。本当に申し訳ありません。」
「もっと見たい?」
「ええ、もちろん。でもいいんですか。」
「それはあなた次第ね。」
 彼女は私の淫らな欲望を診断すると告げた。何に対して、どんな反応を示すのかを克明に調べ上げる。ただし、その都度提示するルールを守れなかったら、セッションはそこで容赦なく終了すると。
シン留美子5 彼女はまず、自分が服を着ていて、こうして隣りに座ったら、どうしたいかを尋ねた。私はまず気取られないように注意して匂いを嗅ぐと答えた。彼女は私に試させてくれたが、温泉の湯のせいで肌や髪の匂いはほとんど感じる事ができなかった。落胆している私に、彼女は次の望みの告白を促した。私は思い切って「脚に触る」と告げた。彼女の許しを得て、僅かに青い静脈の透かし見える白く透き通った太腿に手の甲を静かに押しつけ、内部の熱を感じ取ってからゆっくりと動かし、肌の滑らかさを味わった。次は掌で肌の吸い付きを確かめ、ゆっくりと肉の厚みを掴んだ。彼女の表情を窺うと眼を瞑り鼻翼を膨らませている。彼女の感じている様子に、太腿に置いた手をさらに上へと滑らせようとした、その時、「脚を触りたいって言ったから許したのよ。これで終わらせたいの。」と低い声が飛んだ。横目で見ると、彼女は眼を開けて、こちらを見詰めている。私は手を下へと滑らせ、膝の丸み、ふくらはぎの弾力、足首のしなやかさ、足指の優雅さを味わった。
 「次は何かしら。」私は勇気を出して脚を舐めたいと申し出た。彼女は男のくせに男の脚を舐めたいなんて、何て変態なのかしら‥‥と口の端で冷笑しながら許してくれた。私は前へ回って足指をしゃぶり、膝裏を舐め回し、太腿の内側に下を這わせた。頬に触れそうなくらい近くで彼女のPが硬く直立して揺れていたが、私はできるだけそれを見ないようにしていた。まだ、これで終わりにしたくはなかった。
 彼女に次を促され、首筋と背中を舐めたいと所望した。許しを得て首筋に舌を這わせ、耳穴に尖らせた舌先を入れ、背骨の両脇を舐め上げ、内臓に舌を届かせるつもりで脇腹に強く舌を押し当てた。彼女が湧き上がる快感に耐えているのは、身体の震えから明らかだった。しかし、彼女は威厳を失う事なく、「次は何がお望みかしら」と告げることで、手早く愛撫を打ち切った。
ロマン小説3-10 もはや「服を着ていて‥‥」という設定は霧散していた。私は首筋を舐め上げながら柔らかな胸の膨らみを揉みしだき、腋毛を啜り、硬く尖った乳首を舌で転がしきつく吸い上げて甘噛みし、髪に顔を埋め思いっきり彼女の匂いに身を浸しながら、そのまま彼女の尻の谷間にそそり立った自分の肉棒を押し付けた。その肉棒を彼女の腋に、太腿に、乳の間に、尻の谷間に、唇に挟んで擦り付けることまでした。もちろん、その度ごとに恥知らずな欲望を告白し、彼女の許しを得て。彼女は私の欲望を次々に受け入れながら、いずれも素早く打ち切って、次を促した。まるで口に含んでも飲み込まずに吐き出して、ワインの鑑定を続けるように。
 私は彼女の柔らかな厚めの唇を、火傷しそうに熱い舌を、僅かに煙草の匂いのする唾液を味わい、先ほどはお預けを食らった彼女のPの幹に舌を這わせ、その付け根にたわわに実った果実を口中で転がし、張り詰めた茎の先端を咥え、先走りの雫を味わった。そこまでして、なお、私は診断を受けている「被験者」に過ぎなかった。
 私の更なる願いを受け入れ、彼女は後ろを向き、手を着いて尻を持ち上げた。豊かな円い白く透き通った尻の中央に、谷間が一直線に口を噤んでいた。彼女は後ろに手を回し、尻の谷間をゆっくりと割り広げた。広げても広げても、現れるのは白い肌ばかりで、それが永遠に続くかと思われた。深い谷間だった。ようやくうっすらと肌が色づき、夜が明けるように赤みを増していって、より色の濃い柔らかく膨らんだ輪とその左右に僅かに開かれたごく幼い「翼」、そのさらに奥にあるキュッと結ばれた細かい襞の中心が姿を表した。輪の周囲はその外側より少し窪んでいた。肉棒や太いディルドを尻穴に押し込むことを繰り返すと、尻穴の周囲が圧迫されて、少し窪んだようになる。さらに尻穴の粘膜が変形して、外に小さな「翼」が生じ、時として女性の小陰唇の如く肥大することもある。このことにはウェブに上げられた女装者やシーメールの開かれた尻穴の写真を数多く見るうちに気づいていた。初めて生で見る「使われた」痕跡のまざまざと刻まれた尻に、胸がずきんと鳴った。
シン留美子7 しかし、それで終わりではなかった。割り広げた尻をさらにたぐり寄せるようにして、彼女はきゅっと結んだ口の中まで垣間見せてくれた。様々な色合いのグレーとピンクと薄い紫色が複雑に混じり合った「唇」の奥に、真紅にぬらめく肉がちらりと舌を覗かせた。私は興奮のあまり、眼の前が一瞬暗くなった。
 ふらつく私に「ふふふ。初めてでびっくりしちゃったのかな。次はどうしたいの?」と彼女は獲物をいたぶるネコ科の猛獣のように問いかけた。私は尻に顔を埋め、尻穴の奥まで舌を挿し込みたいと懇願した。彼女は赤ん坊をあやすように私を受け入れ、さらに体位を変え、仰向けにした私に後ろ向きでまたがり、精一杯伸ばした舌先がちょうど尻穴に嵌るよう位置を調整して、私の顔の上に腰を下ろしてくれた。視界を閉ざされ、息もできないまま、舌先を懸命に伸ばし、肉を探り、汁を啜る私に彼女の声がこう告げた。「これで検査は終了よ。」
 尻が離れ、視界が戻ると、彼女は私を見下ろしていた。
「あなたはどうしようもない変態だわ。汚らわしい欲望を全部吐き出してしまわない限り、症状の改善は無理ね。『浄化』が必要だわ。今してあげたことを思い出しながら、私の眼の前で何度でも射精し続けなさい。私がいいと言うまで。」
 私は彼女の前で肉棒をしごき続けた。彼女の唇や舌の柔らかさ、舌やPの熱さ、Pや乳首の硬さの感覚が頭の中でぐるぐると回転した。肌の震えと滑らかさ、粘膜のひくつきとぬらめきの記憶にずぶずぶと溺れた。それでもすぐには射精しなかった。きっと「何もかもがこれで終わってしまう」ことが堪え難かったのだろう。急速に昇り詰めたい欲望を、他のすべてが引き止めていた。
 彼女は髪をかきあげ、舌を尖らし、涎を乳首に垂らして指で塗り広げ、両脚を大きく開き、Pの裏筋に爪を這わせて反り返らせ、先端に滲んだ露に指先を触れ、透明な糸を引かせた。明らかに私を挑発し、精を搾り取ろうとしていた。そのまま両脚を高く上げ、尻肉を割り広げて、「唇」の奥に潜む真紅の舌を覗かせることまでした。
 彼女の真紅の舌を食い入るように見詰めながら、私は力の限りに肉棒をしごき立てた。精液がじわりと上がって来るのがわかった。もう何もかも終わりだ。私は覚悟して一瞬眼を瞑った。その時だった。頬に衝撃を受け、私はもろくも崩れ落ちた。何事が起きたのかわからず、ともかくも湯に潜った顔を上げると、彼女が腰に手を当てて仁王立ちしていた。
「馬鹿ね。本当にひとりで出しちゃうつもりだったの。今夜、あなたの精液は一滴残らず私のものよ。私の中にありったけ吐き出しなさい。準備ができたら、あなたの部屋に行くわ。空になるまで搾り取ってあげる。さあ、さっさと部屋に戻って、おとなしく布団で待っていなさい。部屋の明かりは暗くしておいてね。」
 すぐに事態を理解できず、茫然自失している私の耳に顔を近づけると、彼女は手短にそう告げ、先に湯から上がった。バイバイと手を振りながら扉を出て行く彼女を、私はポカンとして見詰めていた。



シン留美子/急

 気がついた時には外はもう明け始めていて、小鳥の声が聞こえた。気を失うように眠り込んでしまったらしかった。彼女の姿はなかったが、部屋に立ちこめる青い匂いが、昨夜の出来事が夢ではなかったことを伝えていた。浴衣には袖こそ通しているものの、前は大きくはだけ、下腹から太腿にかけて、ローションと白濁液がほぼ乾きかけながらも生々しいぬめりを残し、強い匂いを放っていた。臍に溜まったぬるみを指でいじるうちに、昨夜の記憶が少しずつよみがえってきた。
 だが、それは切れ切れの断片的なもので、脈絡を欠き、まるで夢を思い出すような頼りなさを覚えた。それでも幾つかの場面はまざまざと脳裏に焼き付けられていた。
 すでに明かりを落とした部屋に入ってきた時の彼女は、浴場とは違う新しい浴衣に着替えていた。しかし、記憶の中での彼女は、次の瞬間には、もう、その浴衣を背の下に敷き広げて、両脚を開き、私の肉棒を深く受け入れていた。他に宿泊客はいないとは言え、声を出すのはためらわれ、彼女はハンカチーフを強く噛み締めて、快感に耐えていた。私は彼女の中心に激しく腰を打ち付けながら、彼女の足指をしゃぶっていた。外のせせらぎと虫の声以外は、荒い息と肉のぶつかりあう音だけが響いていた。
シン留美子12シン留美子11b 私はさらに腰を高く上げ、彼女はそれに応えるように両膝の裏を抱え込み、尻穴を天井に向けた。私は杭打ち機のように真上から肉棒を突き刺した。部屋に響くくぐもった打撃音がさらに高まり、彼女はほとんど泣き出しそうに潤んだ瞳でこちらを見詰めていた。「痛くない?」と確かめる気にはならなかった。これは武術の試合にも等しい情け無用の真剣勝負なのだ。彼女の身体が一瞬激しく震え、Pが潮を噴き、胸の辺りまでしぶきが飛んだ。私は肉棒がほとんど抜けそうになるまで腰を高く上げ、一回一回鍬で耕すように掘り進んだ。その度ごとに彼女は露を迸らせ、瞳からは幾筋も涙があふれた。顔が大きくのけぞって、口元からハンカチが落ちた。私は唇を重ね、湧き上がる彼女の叫びを塞ぎ、熱い舌を吸い上げた。彼女の舌が口中で暴れ、痙攣し、硬直した。毎回、掘らなければならないほどきつく締め付けていた尻穴は、さらに強く折れそうなほどに肉棒を締め上げてきた。私は彼女の奥深くに精を噴き上げた。見ると、彼女の下腹を濡らしているのは透明な露だけでなく、すでに白く染め上げられており、彼女が幾度となく射精したことが知れた。
 記憶はいったんそこで途切れている。崩れ落ちるようにして肌を重ね、半ば放心状態で睦みあったのだろうと思うのだが覚えていない。
シン留美子6 続く場面では、彼女が私の上に乗っていた。直前までは私の上にしゃがみ込んで彼女の方が激しく腰を振り立てていたように思うのだが、もはや彼女は天を仰いで身体を小刻みに震わせているだけだった。私は彼女の腰を少し持ち上げて、真下から肉棒を突き上げていた。すでに彼女のPからはとめどなく透明な蜜が滴り、私の下腹を濡らしていた。首をがくんと横に倒し、腕をぶらんと垂らしている彼女は、ほとんど意識を失っているように見えた。私は図に乗って彼女の腰をぐいと引き寄せ、さらに深く肉棒を挿し込んだ。筒口が何かに当たる感じがして、彼女が「ああ、口から出ちゃう……」と呟くと同時に、肉棒がつかえていた扉を突き破り、あたらしい部屋に足を踏み入れた。それが引き金になったのかもしれない。彼女は堅く眼を瞑ったまま、腰を激しく弾ませてきた。骨盤同士がごつごつとぶつかり合うほどの凄まじさで、一歩間違えば肉棒が折れてしまいそうだった。骨のぶつかる痛みはほとんど堪え難かたかったが、狂ったように快感を貪り、尻を打ち付け続ける彼女に気押されて、私はなすがままに蹂躙されていた。
 突き出した舌先からは涎を、振り回すPの先端からは蜜を滴らせながら、汗まみれの豊満な肉体を闇に浮かび上がらせ、一心不乱に腰を振り続ける彼女は、オリンピックに出場する選び抜かれたアスリートの如く気高く美しく、私は圧倒されていた。今や生のディルドに成り下がり、彼女の自慰の道具として酷使されているにもかかわらず、私は自らの身体を生け贄にして女神の本性を垣間見れたことに途方もない幸せを感じていた。拷問とすら思われる交合は果てしなく続いた。彼女はPから透明な蜜だけでなく、強い匂いを放つ白汁を何度となく発射したが、反復運動は止むことがなかった。私も耐えきれず精を放ったが、彼女の動きはそれでも止まらなかった。射精直後の敏感な亀頭が、腸内の襞に激しく摩擦され、陰茎に直接電気を流されたような衝撃が走った。
 先ほどまで眼を瞑っていた彼女は、今や私を見下ろしていた。私が痛みと強烈すぎる快感に顔を歪める様を眺め、舌なめずりしながら、彼女は自らのPをしごき始めた。眼に入る汗と涙でおぼろげに浮かぶ彼女の顔が、慈悲深い女神の笑顔を浮かべた瞬間、白い樹液が私の眼に鼻に口に降りかかった。私がそれを受け止めようと舌を伸ばし、唇の回りに落ちた雫を舐めとっていると、彼女はするりと私の肉棒を体内から引き抜いて立ち上がり、向きを変えて、すぐさま私の腹に腰を下ろした。そこにたまった汗と涙と蜜と精液とローションを押し流しながら、眼前に白く巨大な尻が迫り、赤紫に充血して厚ぼったく腫れ上がり、斜めにひしゃげて半開きになった奥に鮮紅色の肉を覗かせた「唇」が、私の唇に重ねられた。鼻の先まで深い尻の谷間に囚われて、すっかり顔面に蓋をされた私は、深く深く満足していた。このまま死んでしまっても悔いはないとさえ思い、心中は穏やかに澄み渡っていたが、貪欲な女神はそのような達意を許してはくれなかった。
 精を吐き尽くして力なく横たわっていた私の陰茎を吸い、ねぶり回して強制的に勃起させると、激しく擦りたてた。彼女の「唇」から私の口中に、私自身の放った精がとろりと流れ込み、私は懸命に舌を伸ばして、彼女の尻穴の深奥を探った。痛々しく腫れ上がった粘膜は熱を帯び、ずきずきと脈打って、火傷した皮膚の鋭敏な薄さを感じさせ、確かに血の味がした。アイスランドの火山口から地球の中心へと降りていくSF小説のことが、呼吸困難で朦朧とした脳裏をちらりと掠めた。いまや私は彼女の体内の奥深くへとさまよい込んでいるのだ。
 そんなロマンティックな妄想などお構いなく、しごかれ続けて擦り切れた陰茎は残った僅かな精をだらしなく吐き出した。彼女はそれを指でしごき取って舐め、腹に垂れた分も同様にして啜った。そしてもはや役立たずの肉塊に、それでも唇を這わせ舌を走らせた。尻が浮いて、顔面が解放され、私はようやく深い息をつくことができた。
シン留美子1 ここでまた記憶が途切れている。おそらくは意識を失い、そのまま寝込んでしまったのだろう。そんな私を残して、彼女は身を浄め、身支度を整えて、自室に戻ったに相違あるまい。むせかえるような甘く重たい匂いだけを残して(先に述べたように粘液はもうほとんど乾いていた)。
 夢ではなかったことは確実だが、狐のような物の怪に化かされたのではないかとの疑いは残った。あまりにも常識はずれと言うか、人間離れした肉宴だった。あんなことがどうして可能だったのかわからないし、もはやあのような気持ちになることも二度とないことだろう。
 のどが乾いて、テーブルのポットから冷水を注ぐ。ふとそこに旅館備え付けのメモ用紙が置かれていることに気づいた。見ると「また、どこかで、いずれ 留美子」とある。名前を明かしてくれた以上に、永遠に当ての無い「いつか」ではなく、さして遠くない未来に出会えそうな「いずれ」の一語に胸が高まった。裏も確かめたが、連絡先は記されていなかった。仮にあったとして、いくら電話やメールをしても、それだけでは彼女は会ってくれまい。しかるべき幸運な偶然が必要なのだ。ただただ待ち焦がれてさえいれば、・・・に願いが通じて、再び会うことが叶うのだろうか。暗くて最初気づかなかったが、メモ用紙の脇に折り畳んだ布地が置かれている。あえぎ声を押し殺すために噛んでいたハンカチーフだろうかと広げると、掌に乗るほど小さく丁寧に折り畳まれたパンティだった。部屋に来てくれた時に穿いていたものだろう。いつ脱がしたのかすら記憶にないけれども。裏返すと前の部分に大きな染みがあり、透明な蜜が乾いている。浴場から自室に戻って着替え、私の部屋へと向かう僅かの間に、淫蕩な期待に思わず滴らせたものだろうか。私はそんな彼女がたまらしく愛おしく、裏地に鼻を寄せ、舌を這わせ、強く吸った。身体の芯がじんと痺れ、胸がずきんと鋭く響いた。

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